動物の愛護及び管理に関する法律
附帯決議で見直しの勧告がされている事項
2000年12月に動物の愛護及び管理に関する法律が施行されて、5年になろうとしています。
最近の法律は、施行後の状況を勘案して、見直しをする旨が盛り込まれることが多く、この法律も例外ではありません。動物愛護法の附則には、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正後の動物の愛護及び管理に関する法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずる」と記されています。
さらに、前回の改正時に国民からの強い要望がありながら、実効性のある改正とならなかった事項については、衆参両院において以下の6つの事項を見直しをするように附帯決議が付けられています。
1 動物取扱業者の規制の強化
前回の改正で動物取扱業者がはじめて届出制になり、ようやくどこでどのような動物が販売、展示、保管などされているかあるていどの実態がつかめるようになりました。けれども、届け出になってからでも、無届け業者やペットショップ、ブリーダーの施設での劣悪な飼育については、この5年間、事態はほとんど何も変わっていません。毎月のように悪質な動物業者の事件が新聞やテレビで報じられています。
前回の改正時に強い要望があったように、飼育の基準を設けてその基準を満たした業者にのみ許可を与える制度とすることがやはり必要なのです。このことは、営業の自由を奪うことではなく、業界の全体的なレベルアップをはかり、一定の基準以上の優良な業者が育成されることを意味します。またペットショップから購入した犬がすぐに病気になって死ぬといった消費者の苦情に対しても、問題の発生源までさかのぼって追求できるようになるでしょう。
附帯決議では、「優良業者の育成と消費者保護等の観点も加味した登録制などの措置について、実施可能性も含め検討を行うこと」としています。
2 規制対象となる取扱業の範囲の拡大
現行法では、動物取扱業は、施設を有する販売、訓練、保管、展示、貸出の各業に限られています。届出から除外されているのは、施設を持たない通信販売業、露天商などの他に、乗馬クラブは畜産農業に関わるとして、実験動物業者は動物実験に関わるとして、「業の届け出」から除外されています。
しかしながら、もっとも動物の犠牲数が多い畜産動物や実験動物関係を届出の除外することには、動物福祉の観点をもつ法律がこの動愛法しか存在しない現状では、合理的理由がありません。
また、この数年、インターネット販売など施設を持たない通信販売業者やブローカー(仲介業者)が急増しています。露天での小動物販売なども依然として行われており、今年の5月、露店で国内産野鳥を販売していた業者が「鳥獣保護法」違反で逮捕されていますが、小さなカゴに子犬やハムスターなども入れて売っていたこの業者には、動物販売業の届出は不必要だったため、行政は指導もしていませんでした。
今回の改正では、施設を持たなくても、動物を取り扱っている業に対しては、実態把握と改善指導ができるように、業の範囲を拡大する必要があります。
附帯決議では、これについても、問題発生の状況などを踏まえ、再検討を行うこととなっています。
3 取り扱い業の営業停止措置について
悪質な動物取扱業者が引き起こす事件がメディアで報道されています。動物を餓死させている業者でも、わずかの罰金しか課せられていないようです。
絶滅のおそれのある希少動物を密輸して実刑判決を受けた犯人でも、あるいは飼育している犬や馬を餓死させて逮捕された犯人でも、その営業が停止処分を受けることはありません。その業で大きな利益を得ている業者にとって、わずかの罰金くらいでは何の打撃も受けないでしょう。罰金の他に、営業の停止、動物の取扱いの禁止といった措置が必要です。
附帯決議では、「営業(業務)停止に係る命令等の措置を加えることについては、問題発生の実態等を踏まえ、その必要性や有効性を含め検討を行うこと」とされています。
4 虐待の定義について
虐待行為の多くは、つなぎ放し、狭いおりに閉じこめたまま、糞尿にまみれ不衛生状態のまま放置、病気になっても世話をしない、といった飼育怠慢によるものです。現行法で、動物虐待の定義が明確でないために、行政も警察も判断ができずに手遅れになることがしばしばです。幼児虐待についても育児の怠慢(ネグレクト)が大きな問題とされています。私たちは長年の間、警察や行政がすぐに対処できるようにするために虐待の定義を行うよう求めています。
附帯決議では「罰則の対象となる虐待の定義等については、本法に基づく摘発や立件等の状況を踏まえ、見直しの必要性も含め検討を行うこと」とされています。
5 保護動物の範囲
保護動物は、人が占有するほ乳類、鳥類それに爬虫類までと限定されています。しかし、諸外国では中枢神経を有して痛みや苦しみの感覚を有する脊椎動物を保護の対象としているところが多く、その意味では両生類、魚類までを含めることが妥当と考えられます。また、苦痛の感覚は、人に飼われている動物であっても野生の動物であっても変わりがないはずです。野生の動物への虐待が除外されているのは非合理的と考えられます。
附帯決議でも「愛護動物の範囲については、熱帯魚などが観賞用として増加していることなども踏まえ、今後の問題の発生状況等必要に応じてその見直し等につき検討を行うこと」としています。
6 新たな改正事項
1973年(昭和48年)に成立したこの動愛法は、日本におけるあまりに非道な実験動物の取り扱いが英国などに知られ、外圧を受けて制定されたという経緯があります。1999年の改正は、外圧ではなく国内の動物保護の意識の高まりを受け、幅広い世論におされて行われました。
残念ながら、前回の改正時には、動物実験の規制はまったく顧みられることがないままでした。動物実験は意図的に動物に激しい苦痛を与える行為であるからこそ、実験動物は法律で保護されなければならないとして、欧米諸国の動物保護法はすべて実験動物の保護を定義しています。残念ながら、先進国の中で唯一日本のみが、何の法規制もないという状態です。
これについても附帯決議では「今回の改正案に盛り込まれていない事項(動物の取扱や情報公開等)についても、動物の適正な飼養の推進の観点から検討を行うこと」としています。
以上のように、国会でこれだけの事項が再検討を要すると認識されている以上、私たちもこの土台の上に、今回の法改正が本当の意味での実効力のある動物保護法として実現されるよう求めたいと思います。
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